ブエノスアイレス
ゲイ映画としてくくってしまうにはもったいない良作です。(ゲイ映画が悪いわけではないですが、それがウリではないと感じたので)
男女の映画としても成立するかな?と考えてみましたが、女性が絡むと”結婚”だの、鈍い男に本音をわからせるための”涙”や”演技込みの怒り”などのじっとりした部分が出てきそうな気がします。
刹那でドライな部分が男性どうしの恋ならでは、かもしれません。
ブエノスアイレスの景色、アパートの造作、地の果てまで旅をするドライ感が多和田葉子さんの作品をちょっと髣髴とさせました。昨日彼女の本を読み終えたばかりだからかな?
地球のはてまでやってきてもぐだぐだの腐れ縁を続けるウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)。
奔放で我侭なウィンと、夜中でもウィンのためにタバコをかいにいっちゃうファイ。
この二人のバランスは男と女でもありがちで、これが女性だとめそめそ泣いて耐えたりするわけです。 でも実は、一見振り回されている側=決断する側で、”決心した”ファイにウィンは捨てられます。
劇中ではモノクロシーンも多用されていたので、あかい血を洗い流すシーンは色彩的に強烈でした。
別れを察したウィンが掃除をしたりタバコをまとめ買いして整理したりするシーンがあるのですが 壊れて元に戻らないものを無駄と知りつつ直そうとしてみる何気ない行動を見ていると、ダイレクトに伝わるものがあってちょっと寒気がしました。
(レスリー・チャンてどこか薄幸のオーラが漂っていて、辛い思いを堪えるシーンではいつも圧倒されます)
そんなことしても彼はもどってこないよ。
二人の腐れ縁にひょっこりと顔を出す旅人のチャン(チャン・チェン)は風のように爽やかでした。
モノクロとカラーの入れ替わり、日常を切り取ったようなカメラワークが映画のストーリーととてもよくあっていてそれがいっそうドライな雰囲気を感じさせました。
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